大学スポーツは隠された優良コンテンツ。「Tokyo IceHockey Channel」の小林泰さんに聞く

Tokyo IceHockey Channel」は関東の大学リーグを中心にアイスホッケーの試合を「FRESH!」で配信中のスポーツチャンネルの1つです。このチャンネルはすべて現役部員やマネージャーなど有志大学生で運営しており、映像制作などにはほぼ関係のない学生が大半です。

日本ではマイナースポーツにカテゴライズされるアイスホッケーですが、その配信を行ったことで感じたアイスホッケーのコンテンツとして力や配信の苦労などを、代表の小林泰さんに伺ってみました。



小林 泰さん 東京大学運動会スケート部アイスホッケー部門2015年度副将

日本でアイスホッケーを広めたい一心で、2014年秋から日本のアイスホッケーメディア「Tokyo IceHockey Channel」を立ち上げた。大学アイスホッケーを中心にこれまで300試合、800時間以上を生中継。



国内リーグがなくなった日本のアイスホッケー


――そもそも小林さんがアイスホッケーと出会った経緯を教えてください。

小林泰(以下、小林):僕がアイスホッケーと出会ったのは小学校の頃ですね。その後、東大で部活としてプレイしていました。


――日本ではアイスホッケーはあまり知られてないスポーツですが、世界での位置づけはどのくらいなのですか?


小林:北米やロシアでは設備も競技人口もすごくて、プロリーグも日本のプロ野球よりもずっと規模の大きなスポーツなんです。

日本は、世界ランキングこそ低いですが、強豪の北欧諸国にも負けない設備数と競技人口を持っています。

しかし、そんな環境にありながら日本では2004年に国内プロリーグが休止になり、現在はロシア、韓国、中国などと共同開催しているアジアリーグがトップリーグである状況です。そういう状況なので、アイスホッケーの魅力をなんとか伝えられないかなと思ってはじめたのがこのチャンネルです。



大事なのはプロモーション


――配信を開始するために苦労なさったことはありますか?


小林:最初はたった3人、カメラも2台しか用意できないという状況でした。それでもスタッフを集めて、カメラのスイッチングとかを工夫してコンテンツとしてのアイスホッケーの魅力を伝えようとがんばっていきました。


――「FRESH!」で配信するメリットはありますか?


小林:最初はUstreamでスタートして、次にSHOWROOMに移行したんです。それでも、アーカイブとか登録や配信の形式がしっくりこなかったんですよ。

それで、FRESH!さんに移ったんですが「これだ!」と思いましたね。現在、僕らは当日の試合を無料生放送で、過去の試合を有料配信でやってるのですが、この形態が一番しっくりくるなと思いました。


――映像を作るときに気を付けていることはどこでしょうか?


小林:あくまでもエンターテイメントとしてアイスホッケーの魅力を伝えることが大事だと思っています。

定点で試合を映していれば楽なのですが、それではアイスホッケーを知らない人には伝わらないと思います。ですから、スイッチングやクローズアップなどのカメラ技術を使ってコンテンツとしてのアイスホッケー動画を編集しています。

よく他のスポーツ動画で競技場のすみずみの選手まで映しているものもあるのですが、それはスカウト向けの映像であって、面白いコンテンツにはなりえないと思います。プロ野球とかもピッチャーとバッターにクローズアップして、外野の動きはわからないじゃないですか。ですから、見たことのない人のための動画づくりを心がけています。


――そのほかにご苦労は?


小林:これは笑い話なのですが、僕のSNSによくクレームが入るんですよ。どこからのクレームかというと選手の彼女です(笑)。

私のカレのゴールシーンのリプレイが全然映ってません」とコメントが入ってたんですね。すべてのプレイ動画を載せているわけではないのですが、その子のために彼氏の動画を作ったこともあります。

彼女がいたことがないので、こういう愛のあるメッセージは辛かったのですが(笑)


配信をすることで観客も増え始めた


――配信をはじめたことでアイスホッケー関係者からの反響はどうですか?

小林:最初は「配信なんかしたら会場に人が来なくなる」と言われたこともあったんです。でも、僕は大丈夫だと思ってました。この配信は「アイスホッケーを知らない人でも楽しめる」ものを目指して作っているし、プロモーションをしっかりしさえすれば集客につながっていくと確信していたんです。

実際にこの配信を始めてから来場者が20%ほど増加しています。そして、まだまだコンテンツとしての力を掘り起こせると思っています。


――視聴者が配信観戦から生観戦へシフトしているんですか?


小林:そうです。今では最終日には立ち見が出るレベルの集客ができています。今年の2月に行われた女子ホッケーの五輪予選も配信できました。NHKでも中継していて、TVとネットの同時配信という形になったのはよかったと思います。苫小牧で行われた試合でしたが、4000人もお客さんが押し寄せてきて、立ち見も出るほどの盛況でした。


会場に来れば、このスポーツの迫力とか面白さがより伝わるので興味を持ったらぜひ来てほしいですね。音や空気などを五感で味わえるのが生の醍醐味です。選手同士がぶつかる迫力、パックの速さや氷を削る音とかは配信では100%伝えることができませんから、是非見に来てほしいです。


――今後、小林さんが目指しているのはどういったことですか?


小林:今考えているのは横に広げることです。つまり、ほかの大学スポーツでも、このノウハウを生かせないかなと考えています。マイナーとされているけど、コンテンツ力を発揮できないスポーツってまだまだあるんですよ。

例えばラクロスとかも配信を通じて、もっと盛り上げることができるスポーツだと思っています。大学スポーツってまだまだ掘り起こせるコンテンツだと思っているので、一緒に何かできたら面白いですね。


現役選手が語るアイスホッケーの展望


ここからは中央大学アイスホッケー部のゴールキーパーである金子将太郎選手を迎えてアイスホッケーについて語ってもらいました。

――金子選手の紹介をお願いします。

小林:彼は中央大学のゴールキーパーで、高校1年生でU18で日本代表にもなったことのあるプレイヤーです。ユニバーシアードでも選抜されており、カザフスタンへ遠征しています。この春のトーナメントで、中央大学は3連覇がかかっているのですが、彼のプレイに左右されてるといっても過言でありません。

金子将太朗選手(以下、金子):僕は15年アイスホッケーをやってまして、キーパーになったのは小学3年生の頃です。兄がプレイヤーだったんで影響を受けたんだと思います。

小林:金子選手のお兄さんである金子竜太朗選手も、大東文化大の2016年度のキャプテンだった選手なんです。将太朗選手はそのお兄さんを上回るほどの活躍をしていて、僕は日本の大学アイスホッケーで間違いなくトップクラスにいるゴールキーパーだと思っています。

――こういった配信チャンネルがあることを金子選手はどうお考えですか?


金子:僕は地元が苫小牧なんですが、東京の試合はなかなか親が見られないんですよ。ですから、こういうチャンネルがあるのはうれしいですね。

アイスホッケーはほんとうにマイナーなスポーツで、マネージャーを募集しても「アイスホッケーって何?」と言われることがあります。実業団も少なくて、東京には1チームもないんです。ですから、配信を通じて認知度があがってくれればうれしいです。


――アイスホッケーの魅力はどこにあると思いますか?


金子:こんなに激しくて速いスポーツはないと思うんです。こんなに体でぶつかり合うスポーツってあんまりないです。

だから、試合を見てほしいです。絶対に面白いと思うんです。みんなアイスホッケーを知らないだけで、見たらハマれると思うんです。


――試合で選手たちがものすごい速さでゴールに突っ込んできますが、怖くはないですか?


金子:それは怖いですよ。ある程度は慣れましたけど、やっぱり怖さはありますね。防具で多少は防げるんですが、迫力と怖さはなくなりません。でも、そういうところもアイスホッケーの見どころです。

――金子選手としては、どんな人たちに試合を見てほしいですか?


金子:知らない人に見てほしいですね。スポーツを知らない人にも楽しめる競技だし、大人から子供まで興奮できると思うんです。ですから、試合を見てほしいし、競技場に足を運んでほしいです。

小林:アイスホッケーはわかりやすいスポーツだと思います。ゴールにパックを入れればいいというサッカーみたいにわかりやすいルールなので、そういう点では、楽しみやすいですね。


――最後にメッセージをお願いします。


金子:4月30日に秩父宮杯の決勝戦があります。がんばるので見てほしいです。

小林:決勝は中央大学と明治大学です。宿命の対決なのでぜひ観戦してほしいです!


小林さん、金子選手ありがとうございました!

中央大三連覇がかかった秩父宮杯の決勝戦は中央大学vs明治大学。

日時は4/30 日曜日17;30から、西武新宿線東伏見駅徒歩0分のダイドードリンコアイスアリーナであります。観戦チケットは1000円です。

TICでも中継するので興味がある人はチェックしてみましょう!


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